まえがき
保険、入ってますか?
どうも、ワシです。ご無沙汰しておりますゆえ。
…今何してるかというと、都内某所にそびえ立つ病院にて、骨折した腰の経過を診てもらってます。ワシの番までは程遠く、まだまだ呼ばれないみたいなので、スキマ時間にこのブログを書いてるってなワケ。
前回の投稿からこれまたえらく期間が空いてしまったが、今回の内容はタイトルにも書いたとおり、バイクの任意保険についてのお話。ささ、今日もしっかり学んでいきましょうね〜。
…え?「さらっと今言ったけど『骨折した』って何よ?」って??

…まぁタイトルでバレバレかとは思うんだけども。そうです、ワシ、事故りました。それはそれはもう、しっかりと事故りました。腰の骨と右手の親指の骨がパッキリいきましてね、幸いなことに手術はせずに済んだのですがおかげさまでコルセット生活もすっかり板についてきたわけで。2ヶ月目突入だよね。はぁ〜辛い。
事故の種類としてはよくある前方不注意での追突事故とかではなく、どうしても避けきれず散ったタイプの単独事故。…と言ってはいるが、もしもっと自分がバイクをうまく操れていたら起きなかったものなのかな、あるいは起きたとしてももっと軽微な怪我で済んでいたのかな、とも思う。
それにワシ単独の事故で相手がいなかったからまだ良かったものの、もしコケて滑っていった先に誰かがいて、怪我させていたら…。事故の瞬間は何も考える余裕がなかったワシだけど、今になってみると色んなこと考えてしまって身震いするよね。

別に懺悔するつもりでこの記事書く訳では無いからタラレバの話はこのくらいにしとくけど、事故ってやっぱり後味が悪いものだ。だって心も体もバイクも壊れちゃうんだもん。つらいヨ、ホントに。
…とはいえ、悔やんでるばかりでは何も変わらないのが人生。何も事故りたくて事故ったわけじゃないけど、起きちゃったもんはしょうがないんだナ。どう復活するかを考えるしかない。ワシだって、ここでバイクを降りるわけにはいかない。折れた腰は絶対治さないと。でも、でも…カネが…
…この記事は、そんな骨折り損のくたびれ損(微レ存…?)なワシの救世主となった任意保険くんのお話です。
もし今まさに愛車となるべきバイクを買おうとしていて、「任意保険に入ろうかどうか迷っているんです〜!保険ってホントにいるの??」なんてことを言ってるライダーがいるなら、悪いことは言わない。今すぐそんな迷いは捨てて任意保険に加入してほしい。
未来の愛車のためにも。そしてキミのためにも。
本題
前置きがだいぶ長くなりましてね。グダグダ言ってないでさっさと本題に入ろう。
以下にざっくりと目次みたいなのを置いたけど、早漏ライダーのために先に結論を言うと、任意保険には絶対入れ!納得行く会社の納得行くプランに入れ!ってこった。ハイ分かりましたァッ!って即刻保険のハンコつける人はもう先は読まなくて大丈夫。これがこの記事で一番言いたかったことだからね。
「いや、みんなそう言うけど…要るの??無駄に高いし要らなくね??」とか「選び方わかんねーよ、納得行くってなんだよ」って人にこそ、最後まで読んでもらいたい。なんかあった時に、最小限のダメージで済むようにね。
ワシが伝えたいこと
- 任意保険は”任意”ではない
- 結局、事故るといくら掛かるのか?
- 例) ますみんおじさんの場合
- 補償内容は把握しておこう
- 保険の選び方、プランの決め方
1.任意保険は”任意”ではない
あのですね。「任意」保険っていう言い方が良くないです。意味を履き違えやすいから「任意はつけなくていいや!」っていう人が出てくるんだよなァ…。
みんな免許を取るときに習うとは思うけど、自動車(二輪車も含む、法用語としての自動車)は自賠責保険に入らないと公道を走行できないことになっている。この自賠責保険は絶対必要なものなので、「強制保険」と呼ばれることもあるのは知っての通りだと思う。
「ほら、保険入ってるじゃんか!なんで2つ加入しないといけないの?」っていう人、ちょっと待ってほしい。保険で大事なのは「事故の被害をどこまでカバーできるか」である。自賠責の補償内容は以下の通り。
- 対人補償:最大3000万円まで
- 対物補償:なし
- 車両補償:なし
- 自分のケガの補償:なし
「あれっ?」って思う点があっただろう。そう、自賠責保険とは「事故で相手を怪我させてしまった場合」に補償するためのものであって、それ以外の部分は何一つ補償してくれないのである。
例えば単独事故を起こしてしまったので保険金で直そうと思っても、自賠責では自分の怪我はおろかバイクのウインカー一つすら直せないのだ。これはちゃんと知っておいてもらいたい。また、対人補償も上限が決まっており、慰謝料なんかでこれ以上の額面を請求されたら当然自腹を切ることになる。事故って自分の怪我治す余裕すらないのに、慰謝料なんか請求された日にゃ…
脅す訳では無いが、いつ事故が起こるかわからないのに自賠責しか加入していないんじゃ心もとなさにも程があるっていうのが分かってもらえたと思う。任意保険というのは、自賠責だけでは全く足りてない部分を補償するためにあるものなのだ。
ここまで言えば分かると思うが、任意保険に入らないっていう選択肢を取るくらいならバイクは公道で乗るべきじゃない。まぁ自分の家でずっとお世話になってきた保険会社があるとか、CM見てここの保険のこのプランじゃないと嫌だ!とかはあるだろう。その人に合った会社、その人に合ったプランが選べるっていう意味では”任意”ではある。入るのは当たり前。その上でどこに入るのかは自由に選べるよっていう、公立中の部活みたいな制度だと思えばいい(?)。とにかくしつこいくらいに言うけど、任意保険には入っておこうな。
2.結局、事故るといくら掛かるのか?

この章では、実際の医療費について見ていく。生々しい話だが、実際のところこれを聞きたい人が大半なはず。というのも、事故って病院行って領収書貰うまでは自分のカラダの値段なんて誰も分からないからだ。
ここではワシが事故ってから今日までに払った医療費を隠さず全部記して計算している。手術はしていないものの、骨折でこの額というのを安いと思うか、高いと思うか。先に言っておくが、今の時点ではワシはまだ保険金を受け取っていない。あくまでも、「受け取れるということが確定した」だけであってまだ支払いは済んでいないんだナ。みんなもこの額面を今急に突きつけられたらどうなるか、という視点で考えてみてほしい。
日付 | 場所 | 内容 | 金額 |
2017/05/02 | 秋田(初診) | ・休日外来での診察 ・腰・指レントゲン ・CTスキャン | 51,720円 |
2017/05/08 | 東京(初診) | ・腰・指レントゲン ・指経過診察 ・CTスキャン結果診断 | 35,880円 |
2017/05/08 | 東京 | ・コルセット作成 | 48,470円 |
2017/05/09 | 東京 | ・腰経過診察 | 2,820円 |
2017/05/12 | 東京 | ・指経過診察 | 1,460円 |
2017/05/18 | 東京 | ・指レントゲン ・腰経過診察 | 5,940円 |
2017/05/30 | 東京 | ・腰レントゲン ・腰経過診察 | 18,160円 |
2017/06/15 | 東京 | ・指レントゲン ・指経過診察 | 5,940円 |
2017/06/27 | 東京 | ・腰レントゲン ・腰経過診察 | 7,200円 |
– | – | 合計 | 177,590円 |
どうだった??想像より安かった?それとも高かった?…個人の生活状況に多少左右はされるので一概にどうとは言い難い。でももし今までに骨折を経験している人なら、ほぼ全員が以前払った額と比べて「高い」と思うだろう。なぜか??
これはとても簡単で、ワシの骨折が交通事故によるものだったからである。日本は社会保険や共済の制度が整っていて、怪我や病気をしてもおおよその場合は本人の負担は3割で抑えられることはみんな知ってると思う。部活動の最中や通勤途中、もしくは家の中での事故であったとしても、公的医療保険制度(厚生労働省サイトへ)のおかげで3割の負担に抑えられる。あとは国なり県なりが払ってくれるってワケ。
でもこの「おおよその場合」に入らないケースももちろんあるわけで、交通事故はまさにそのケースなのだ。ワシが撮った請求書の写真をもう一度よく見てほしい。「保険種別」の欄に「自賠」って書いてないか?? 実はこの文字が示すとおり、ワシのように交通事故でお医者さんに診てもらうっていう場合、全額自分で払わなければならない(つまり10割負担)のである。保険に入れと口うるさく言っているのはこのせいでもある。ちゃんと稼いでる人でも、いきなり「10割負担してね♡」って言われてすぐに固まったカネが用意できるのはごくわずかなんじゃないかと思っている。
ワシの場合はそもそも毎月の収支がプラマイゼロになるような生き方をしているので、「この額面押し付けられてまだ保険金を受け取っていない」という状況が意味するところはわざわざ言うまでもなく推し量れるものかと。全額クレカ決済で今のところなんとかしのいでいるが、枠はほぼ使い切っちゃったし何より請求が怖すぎて怖すぎて震えるので西野カナになれそう(風評被害)。
3.例) ますみんおじさんの場合
とまあ任意保険に加入することの大切さを説いてきたが、ひたすらにこうしろああしろと押し付けたところで、人間ってのは滅多な事じゃ変わらない生き物である。悲しいもんだ。
ワシは一回痛い目を見ているもんだから、ともすれば保険屋の回し者のようにただただ保険はいいぞおじさんと化しがちである。でもね、いくらそうやって説いても人間ってのァ一度死ぬ目に遭わないと「そんなカネがあるならアクラポビッチのマフラー買ったほうがええやろw」となるのがオチなのである。
っつーわけで今度は志向を変えて、具体例を出しながら話していきたいと思う。よく教習所で交通事故を起こしてしまった人の悲惨なその後を描いたビデオが流れてると思うけど、あれに似た感じだナ。「なんかあってからじゃ遅い」のはよく言われてるからわかると思うけど、じゃあ本当に「なんかあったとき」はどうなるのかっていうところを頭の片隅にでも入れとくキッカケになればおじさん冥利に尽きるってモンだね。
今回取り上げるのはズバリ、「ますみんおじさんの場合」だ。偶然ワシと同じ名前の人物の話になってしまったが、全くのノンフィクションだし同姓同名というかそもそもワシの話なので心して聞いてほしい。いや、読んでほしい。
おしながき
- ワシのおバイク事情、保険事情
- 事故当日
- 事故の瞬間
- 事故直後
- 医療費に襲われる
1.ワシのおバイク事情、保険事情

ワシは今Ninja250(おにんにん)とスーパーカブ50(カブくん)の2台持ちをしている。
自賠責はもちろん2台とも加入しているし、おにんにんは任意保険ももちろん付けている。カブくんの方は任意保険入っていないのかというとそんなことはなく、おにんにんにファミリーバイク特約を付けてしっかり補償体制を整えている。
ファミリーバイク特約を知らない人のために一応ざっくり説明しとくと、この特約は125cc以下の2輪(つまり原付バイク)なら何台でも補償しまっせというやつである。他人のバイクに乗ってての事故でも補償されるし、自分の家族が起こした事故でも補償される。
しかもこの特約効かせて補償を受けても大元の保険等級は下がらないという、どちゃクソ強い神のような特約である。
詳しい話は保険屋さんから聞いた方が正確なのでここではこのくらいにしておくが、二台持ちで片方が原付っていう人は両方にそれぞれ任意つけるより断然安くてオヌヌメゾ。
若干話が逸れてしまったが、要はカブくん乗ってても安心ってことやね。うんうん。
2.事故当日
そんなワシの身に、突如として事故は襲ってきた。
ゴールデンウィークのお話。ワシは秋田の実家におにんにんで帰省していた。前日は東京から秋田までぶっ通しで走り続けたが、しっかり寝たのでまた今日もツーリングに行こう、そう思っていた。
秋田のGWといえば、ちょうど花見の時期。きみまち阪の桜も見頃だし、大潟村の菜の花なんかも満開だろう。友人が一緒に菜の花ロードへ行こうと誘ってくれたので、朝から準備である。
ワシは旅先で走ってる様子を動画に収めるのが好きだ。Goproで動画撮って、後から眺めるとまた泣けてきたり。旅の楽しみである。
今回も菜の花ロードのきれいな景色を収めたいと思っていたので、充電はしっかりしていた。ただワシがいつもGoproに128GBのSDカードを差している(Goproが許容している最大容量は64GB)からなのか、たまにGoproが思った通りの動作をしないことがある。だから、ツーリングに出かける前には必ず一度電源を入れてバグらないかどうかの確認をする。今回もいつものごとくGoproの電源を入れてみると、SDカードの空き容量がもうないとアラートが出た。これを使い切るとか相当撮ったなと。ほぼ高速道路流してる動画しか撮れてなかったんだけどね。…あいにくmicroSDは今Goproに挿している128GB一枚しか持っていなかったので、友人と合流する前に鷹巣市街にあるケーズデンキで調達してこようと考えた。
こうして家を出てから事故を起こすまで約10分。たらればの話をすれば、もしここで予備のSDカードを自分が持っていたら、もしここでクラウドに動画をバックアップして空き容量を確保していたら…とまぁいくらでも出てくるのだが、とりあえず事実だけを並べていこう。
3.事故の瞬間
鷹巣バイパスを鷹巣市街方面へ、前からトラック、商用っぽいミライース、ワシの順番で走っていた。トラックが結構遅くて、50km/hくらいしか出してなかったと思う。別に急ぐわけでもなかったので、特に追い越しもせずダラダラと付いて行ったわけだ。…が、ケアタウンたかのすを過ぎてヤクルトの販売所がある辺りでコトは起きた。
トラックが石を踏んだのだ。それも、小さめの握りこぶしみたいな、割と破壊力がありそうな石。イチローの送球ばりの低空ライナーで勢い良く後ろに飛んできたが、前のミライースはタイヤが左右に2本ずつ付いてた(当たり前!)から、その石をタイヤとタイヤの間で避けることができた。でも、後ろにいたワシはバイクに乗ってる。車線中央を走ってたから、石が正面に飛んできたわけだ。踏んだら明らかにコケる。避けるしか無いが、対向車線にはみ出したら間違いなく死ぬ。とっさに体全体を傾けて歩道側に突っ込んだ。
石は回避できた。でも体を傾けすぎて、どう考えても車道に復帰できない。ってかコケる。…そこに見えたのが、縁石が斜めになって途切れている部分。「この部分をすり抜けて歩道で停まれればOKだ!」と思ったワシは、体制を立て直しつつ何とかその縁石の隙間にバイクを向けた。
…が。一歩遅かった。隙間をすり抜けるはずの前輪はあろうことかそのほっそい縁石に乗っかってしまった。斜めになった部分がジャンプ台役割をしっかりと果たしてくれたおかげで、ワシはバイク乗り初めて2年目にして初めてスタントマンになった。
スタントマンになりました pic.twitter.com/vkMsMfeF9C
— ますみん@家なきエンジニア (@masumi_sugae) May 4, 2017
4.事故直後
事故を起こしたのは幸いにも実家からスグのところだった。たまたま親父も鷹巣市街方面へクルマを飛ばしていたところだったらしく、倒れたバイクを起こした後親父に電話を掛けると、電話が切れる前に親父が現場に着いた。
これまたラッキーなことに、空を舞った後激しく地面に叩きつけられたにも関わらずおにんにんは自走ができる状態だった。流石にチェンジペダルが曲がってしまっているのでギアチェンジはしにくかったが、裏の山道をゆっくり走りなんとか実家に戻ることができた。
…SDカード手に入らず。当然大潟村へのツーも中止。「何してたんだっけ」と自問すると、それに母親が間髪入れず「事故ってたんだよ!!」と答える。せやな。つら。とりあえずバイクは車庫に入れて市民病院へ。派手にやらかしてしまったのでCTも取る羽目になってしまったが、脳は問題ない様子。縁石に乗っかった瞬間に突き上げられたからか左のタマが痛かったけど、診てもらったら「とりあえず付いてるし大丈夫」とのこと。ホントかなぁ…?
ワシ「言いにくいんですが、ぶっ飛んだ衝撃でタマにキズな気がしてるんですわ」
先生「どれどれ」
タマ「やあ」
先生「ああ、2つちゃんと付いてるんで大丈夫ですよ」
ワシ「ありがとうございます」— ますみん@家なきエンジニア (@masumi_sugae) May 4, 2017
冒頭で述べた通り、診断結果は腰と右手親指の骨折。あとから先生に聞いた話だが、圧迫骨折した腰骨があと1mm後ろにずれていたら神経に干渉して立てなくなっていたらしい。あぶねぇ。
5.医療費に襲われる
診察が終わって会計に回った。あいにくGW中はその場での会計ができないらしく、後日支払いということになった。ここでワシにとっての衝撃の事実を突きつけられる。そう、先にも述べた交通事故は10割負担というアレである。ワシはこれまでに何度か骨折や手術をしており、そのときの額面の感覚でいたのでそれはもう目玉が飛び出るほどの衝撃であり、「ますみんさん、早く5万円払ってくださいよ」と秋田の病院から催促の電話を受けたときはもうヤミ金の取り立てにおびえるさまそのものだった。
その後東京に戻ってからも、腰を保護するコルセット、毎度毎度のレントゲンなど、医者に通うたびに財布から湯水のごとくお金が飛んでいく。今はクレジットカードを切りまくってなんとか通院できているが、来月の請求は…
交通事故は本当に破産モノである。
6.保険に救われる
とまぁ一瞬にしてクソ貧乏になってしまったワシ。おにんにんの保険は車両補償付けてなかったはずだし、自分の怪我の補償も付けてたかどうか…と不安になる。正直に言うと、ワシは保険屋さんに連絡してちゃんと保険金が下りるよと教えてもらうまで、自分が選んだはずの保険内容を全く理解していなかったのだ。

ワシがおにんにんにつけているのはあいおいニッセイ同和損保の「セーフティツーリング」という自動車保険。こいつは任意で搭乗者傷害特約というのを付けることが出来る。これは何者かというと、読んで字のごとく、「契約したバイクに乗って(搭乗)事故った(傷害)時に、怪我の具合と通院日数に応じて決まった額の保険金を支払うやで〜」っていうものだ。通院日数が4日以内なら1万円、5日以上なら状態に応じて10万、30万、50万、100万と額が変わる。ワシの場合は骨折なので30万円支払われるということになる。
これを保険屋さんから聞いて、どれだけワシが安堵したか。さっき書いたけど、クレカ切りまくっての通院なので請求が大変なことになるというのは目に見えていた。だからクレカの返済を事故後「あとからリボ」方式に変えたのだが、完済できるのはいつになることやら…と途方にくれていたところだったので保険金がちゃんと降りるというのは死ぬほどありがたかった。や、死んだらだめだけどさ。
あとさっきの章で計算した結果をもう一度見てみると分かるんだが、実はちょっとプラス収支になるんだよね。腰骨の1mmのズレがなかったから、手術せず浮いた分があるってわけだ。まぁ怪我した2ヶ月が本来どれだけ価値のあるものだったかって言われたら、そりゃあ30万で効くようなものじゃないほどマイナスになってることは間違いないんだけど。
それでも新しいヘルメット買えるくらいのお金が手元に残るのはありがたいことだよ。おかげでまたバイクに乗れるんだからね。もう色んな面で保険サマサマです。あいおいには足向けて寝れねーですナ、ハイ。
4.補償内容は把握しておこう
ワシの思い出話もたっぷり聞いてもらったところで、まともな話に戻ろう。
任意保険には必ず入るというのはさんざっぱら言ったとおりだ。ここで伝えたいのは、その保険がどんな事故をカバーしてくれるのか、ちゃんと知っとけということである。
ワシはさっき、「ワシは保険屋さんに連絡してちゃんと保険金が下りるよと教えてもらうまで、自分が選んだはずの保険内容を全く理解していなかった」と書いた。周りの人がちゃんと愛車の保険内容把握してるかなんて聞いたこともないし、別にそれを聞いてどうなるわけでもないが、保険屋さんいわく「ますみんさんのように事故を起こして初めて『保険って適用できますか!?』と焦りながら聞きに来る人は多い」とのこと。自分がそうだったので痛いほど分かるが、契約内容がわからないので「保険使えないかも…でももしかしたら…」と、藁をもつかむ思いで連絡するんだナ。
サラッと書くと、保険加入のおおよその流れはこんな感じだ。つまるところ、2番で話を聞いてない、あるいは金額のところしか聞いてない人が圧倒的に多いということだ。
- 保険屋さんが事前におすすめのプランを何個か提示してくれる
- 各プランの違いについて説明を受ける
- 最終的に1つプランを選んで契約を結ぶ
「別に契約内容知ってたところで事故ったときの保険屋の対応変わらんし、別によくね?」という意見があると思う。それは半分正しくて半分間違いである。これも保険屋さんから聞いた話の受け売りになるが、「我々も商売業なんですよね…ウチ(あいおい)は絶対ないですけど、『お客さんが請求してこなかった内容は適用しない』っていうこともあるんです」ということを言っていた。つまり、自分の保険内容をちゃんと把握していないと、支払ってもらえたはずの保険金を受け取れず泣き目を見ることがあるということである。まぁでも商売人の心理としては当たり前だよね、会社の利益損ないたくないし、払わなくていいカネは払いたくないもん。
ワシはあいおいと東京海上以外の保険に入ったことがない(東京海上はルミオンくんの保険で加入中)のでこれ以上は何とも言えないが、ワシの保険担当のオニーサンみたいに「そのケースならこれとこれが使えます!こっち使うと次の年はこのくらいの保険額になります!」としっかり面倒見てくれる人ばかりではないらしい。保険金受け取る側が保険金詐欺(?)に遭わないためにも、内容は把握しておくに超したことはない。
5.保険の選び方、プランの決め方
長くなりすぎた。これが最後の章です。とはいえ、伝えたいことは既に伝えてあるのでこの先は別に読みたい人だけ読んでくれればいい。この章では「選び方わかんねーよ、納得行くってなんだよ」って人に向けた、ワシなりの保険・プランの選び方を書くよ。
プランを先に決めよう
これを声を大にして言いたい。どういう補償を付けておきたいのか、まずはそれから決めるのだ。
バイク保険や自動車保険というのに触れたことがない人にとっては結構とっつきにくいのが、保険に付けられるいろんな特約やプラン内容。用語がまず意味分からんし、多すぎて何が何だかよく分からない。補償内容が書かれたパンフレット渡されても、字が多すぎて読む気にもならない。ワシも最初説明を受けた時、そういうイメージしか無かったので安さだけでプラン決めました(半ギレ)
でもね、あいおいと東京海上で契約内容を見比べて思ったことがある。
「どっちも中身同じじゃね???」
そう、これに気づくまでだいぶ時間がかかってしまったが、保険のプランや特約というのは名前は違えどどの会社を選んでもほぼ同じなのだ。当たり前だよね、事故のパターンってほぼ決まってるんだもん。自損事故なのか、相手がいるのか。モノだけを傷つけたのか、ヒトも傷つけてしまったのか。場所や状況は違ったとしても、あらゆる事故は必ずこのどれかのパターンに入るはずだ。
そうであるなら、保険会社も何に対して保険金をつければいいかは分かる。それがユーザーの欲しいものだからだ。ネット保険なども増え保険というものが身近になった今では、どの会社を選ぼうと特約はさして変わらない、つまりはどの保険会社を選んでも、自分が必要だと思う補償内容は付けることができるのだ。
「じゃあ、どの特約をつければいいわけ?」という話になる。これは簡単で、
- 搭乗者傷害特約のみ or 人身傷害保険とセット
- 対人、対物は無制限、免責なし。弁護士特約も付けとこう
- 車両保険はお好みで
というのがワシの答えだ。
1についてはまさにワシが経験したパターンで、事故った時自分のケガの補償はあったほうがいいってことだね。人身傷害保険っていうのが「入院費や手術費用、完治するまでの休業サポートや精神的サポートも全部やるやで〜」っていうやつ。搭乗者傷害特約はワシが使ったやつで、骨折ったらときに30万パパっと渡して、終わり!ってやつ。
ワシみたいに手術いらない事故なら後者で十分賄えるかもしれないが、万が一手術が必要な事故を起こしてしまったり、後遺症が残ったじょうたいになってしまったりしたら、これでは足りないだろう。ワシも納車から1年経って保険契約を更新したが、事故を受けて搭乗者傷害特約のみから人身傷害保険セットへと補償を変更した。
「セットにすると補償内容が被ってムダになるのでは?」という声もありそうだが、前者は基本的に治療が全部終わった段階で保険金が支払われるのに対して後者は1日でも医療機関に通っていればその時点で支払われる。長期にわたる治療が必要なケースだと、完治する前にお財布がすっからかんになって病院に通えなくなることがあるかもしれない。搭乗者傷害特約の一時金制度は、そういう時に「とりあえずこれで当分は通院できる」っていう状態にしてくれるので、前者と同じくらい重要なのだ。
2についてはあえてここで言う必要もないのかもしれないが、相手を傷つけてしまった時に自賠責だけでは賄いきれない事があるのは最初に言ったとおりだ。考えたくもないが、傷つけた相手が寝たきりになってしまってその医療費を一生請求され続けるとしたら…対人補償は無制限意外に選択肢はないだろう。
対物についても同じことが言える。「よそ見してて前のクルマにぶつかりました」という場合、そのクルマを修理する費用はこちらが出す必要がある。軽自動車でも120万はする時代。もしまかり間違って黒塗りの高級車に追突してしまったら、示談なんかでは済まされないゾ。
自損事故で破壊しがちなガードレールなんかも修理費用は高くつく。曲がっているのはぶつかった部分だけに見えても、つながっている部分が実は全て影響を受けて微妙に曲がってしまっていることがある。ガードレールは単なる柵というだけでなく衝撃の緩衝材の役割も果たしているので、一度曲がってしまったらもうその役目は果たし終えた=交換となる。工事費用と合わせると相当な額になるわけだ。基本的に対物事故の場合はその請求額は青天井なので、ケチらず無制限補償にしといたほうが身のためである。

あとは「免責なし」という点だが、これはどういうことかというと右の図の車線部分が無いって意味だ。レンタカー借りたことある人なら免責っていう言葉を聞いたことはあると思うが、この単語の意味は保険会社が保険金を支払う責任を免れますよってこと。
つまり、免責5万なら賠償額5万以内なら全額自己負担だし、賠償額15万だとしても保険会社は10万しか払ってくれない。「5万まではテメエでだしやがれ!」っていわれる(言われないけど)。
事故なんてめったに起こらないんだから保険料安いほうがいいじゃんって思うかもしれないが、事故って絶対5万飛ぶってわかってるなら毎月1,000円多く払って万が一のときは全部保険会社に払ってもらったほうがいいと思う。
弁護士特約ってのは基本的に最初からついていることが多いが、これは相手がいる事故で裁判になったり示談が上手く行かなかったりしたときに、弁護士費用も保険からおろしてくれるというもの。弁護士を付けてまともに裁判を起こそうとすると、法の場なのに法外なカネがかかる事が多い。この特約がついていれば、裁判沙汰になっても金銭的な要因に悩まされずにすむ。交通事故は大きなものになると間違いなく裁判が絡んでくるし、たとえ相手を訴える側だとしても弁護士を付けるなら費用は一旦こちらが出す必要があるので、付けておいて損はない。
自分のケガ、相手のモノとケガ、後は何が必要か?それは3の「自分のバイク」に対しての補償だ。これに関してはいろんな考えがあると思う。ワシの場合、もし公道を走っていて自走できないレベルまで壊すような事故を起こしてしまったときは「バイクに乗る資格がなかった」と諦めると思う。多分バイクを降りるだろう。そういう覚悟をもつという意味で、ワシは車両補償は付けていない。
もちろん廃車になったとしても新しいバイクを買うつもりなら車両補償は大きな威力を発揮すると思うが、ワシは愛車をそういう形で乗り換えたくないのでこうしている。だからその人の考え方に合わせて「お好みで」ということなのだ。
その他にもいろいろと補償内容は盛り込むことが出来る。が、上の3つがしっかり選べていれば他は基本的に「オススメされたものをそのまま選ぶ、または1番安いプランを選ぶ」で問題ないと思う。
保険会社
プランがどの会社でも変わらないならどの会社選んでも変わらないのかというと、そんなことはない。保険会社によって保険料が変わるのはみんな知っていると思うが、補償内容が同じなのになぜ値段が違うのかと疑問に思う人もいるだろう。一言で言うと、この金額の違いは「保険会社が保険につけるサービスの違い」だ。
どういうことかというと、例えばツーリングをしていて山道で突然ガソリン切れを起こしてしまったとする。別に事故を起こしたというわけではないが、サービス体制がしっかりしている保険会社だとこういうケースも補償してくれることがある。保険会社に連絡すれば、ガソリンを届けてくれたり、ある程度の距離まで無料でレッカー移動してくれたりするのだ。これ、めちゃめちゃよい。すこぶる安心である。
どの会社を選んでもいいと思うし、どこを選んでも基本の内容は変わらない。保険会社を決めるために見るべきポイントは保険の内容ではなく、以下の2つだ。
- 自分が希望する補償内容でプランを組んだ場合の保険料
- 保険に付帯されるサービスの充実度
どうだっただろうか。今だと何社もの保険料を一気に見積もってくれるサイトがあるので、その気になれば1のほうはすぐに目星をつけることが出来る。あとは保険会社が出しているパンフレットを実際に覗いてみるなどして、付帯サービスが充実しているものを探し当てよう。自分と愛車がずっとお世話になるものだから、時間をかけてでもぴったりのものを見つけるべきだ。
悩み抜いた時間はきっと、万が一の時に真価を発揮してくれる。
「あの時しっかり品定めしといたからちゃんと医療行為がうけられる、あの時じっくり悩んで決めたおかげで無事に家に帰れる」と。